もうすぐお正月が近くなり、そうなると、毎年好例の箱根駅伝が開催されますが、駅伝がマラソンをダメにした (光文社新書)を読むと、箱根を違った視点で楽しく見れると思います。
まぁ、タイトルが刺激的で、駅伝(ちなみに箱根駅伝のことです)がマラソンをダメにしているという一定の批判はしつつも、きちんとした対案も提示されているので、一方的に駅伝がダメということを本書で展開しているわけではありませんでした。 1.駅伝がマラソンをダメにした根拠は? このタイトルにもなっている根拠ですが、一区間あたりの距離が、20km近いという設定を考えた場合に、適正のある陸上競技が見当たらないそうで、5000mとか1万mのような競技の選手からすると、かなり無理な設定のようです。 自分も最近走るようになってちょっとづつ分かってきましたが、5kmのコースにエントリーするのと10kmのコースにエントリーするのでは、走り方や考え方もまるっきり違うでしょうし、まして、レベルが高いレースになればなるほど、この距離による適正というのはものすごくポイントが高いのかと思います。 そういう点を念頭において考えると、他の駅伝で、コース設定の妙を感じさせるレースもあるそうで、一区間あたりの距離が3km前後や、5km前後、10km前後というが組合わさっていると、ちょうどそれらに該当するトラック競技があるから、適正のある選手が無理せずにエントリーできるという駅伝もあるそうで、箱根もこういった形のことを取り入れてみても面白いのかと思いますが、商業主義的な部分が大きくなってしまった今の箱根駅伝ではなかなか難しいようです。 2.新興校と呼ばれる学校がなぜチカラを伸ばしてきたか ケニア人留学生の先駆けのような山梨学院や、近年圧倒的な力を見せている駒沢大学といった大学は、箱根駅伝の歴史で考えると、新興勢力に属するそうですが、なぜこういった学校の選手がチカラを伸ばしてきているのか考察されています。 こういった新興勢力で比較的共通しているのは、指導者の”にらみ”がかなり効いている所かと思います。 駒沢大学の場合には、選手が日常生活をきちんと規則正しく過ごさせることを監督の大八木さんという方が意識されていたそうで 「食事、掃除、挨拶。これらのことをしっかりできることが大切です。授業に出ることは当たり前です。駒大ではもう何年も留年した選手はいません。」という言葉にそれが表れているのかと思います ちなみに、大八木さんは、現役時代、社会人を経てから駒沢の夜間部に入学をしたそうで、その当時は昼間働き、昼休み中にも軽く練習をして、その後16:00に仕事を終えた後にグラウンドで練習をして、18:00から授業に出るということを実践されてきたかなり苦労された方のようですが、そういうバックグランドを持った指導者が着任したからこそ、駒沢大学の四連覇を達成したのかと思います。 指導者以外にも、優秀な高校生をリクルートする部分も見逃せないようで、こういった努力があるから、結果につながっているようです。 今年はどこの大学が勝つかはわかりませんが、事前にこの本を読んでから箱根駅伝を観戦してみても面白いかもしれませんね。 駅伝がマラソンをダメにした (光文社新書) posted with amazlet on 07.12.21 生島 淳 光文社 (2005/12/13) 売り上げランキング: 172101
by h5y1m141
| 2007-12-21 10:19
| 読書メモ
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