あなたのTシャツはどこから来たのか?を読み終わりました。
翻訳をした方のあとがきでもあったのですがTシャツという身近にあるものを通してグローバリゼーションというものを理解しようとするにはとっても良い本かなぁと思います。 Tシャツの一生(?)を考えた際に、原料となる綿の栽培から始まり、原材料の綿花を綿糸に紡ぎ、それを実際に加工して販売、最後には捨てられるという工程を考えると、最後の捨てるという段階に至るまでは、基本的には市場の力ではなく、政治力に翻弄されているのが意外だった。 例えば綿の栽培をしている農家を例にすると、人件費が安い国で栽培されている綿が利用されいるのかと思ったら、実はアメリカ(テキサス州がメジャーらしい)の綿生産者が栽培されるものが、依然として市場シェアーが高いそうです。 アメリカの生産者と貧困国の生産者を比較すると、 貧困国の生産者の武器 1.安価な労働力 アメリカの生産者の武器: 1.政府からの補助金 2.大学の研究室等からもたらされる技術革新 3.価格支持制度 4.生産した綿をあますことなく供給できるマーケット という感じになっておりよくアメリカの生産者がやり玉にあげられる要因として、補助金があるけれど、それだけが要因でアメリカの生産者が優位性を保っているわけではなく、むしろそれ以外の要因があるおかげということが書かれていました。 1.や2.技術革新(トラクターのような機械の開発とか新しい綿や除草のための薬剤の開発とか)はわかりやすいので、これは説明するまでもないけれど、それ以外の部分について補足。 3.の価格支持制度というのは、PCCAという協同組合によってもたらされたもので、農産物の栽培という性質上、天候不順や、栽培量の増減による様々なリスクを避けて、商品価格の下落を避けるとともに、農家の方にとってのセーフティネットの役割も果たすことを政府が保証しているそうです。(その代わりの見返りとして、こういう生産者からの支持を得られるという政治的側面もあるれけどね) 4.については、収穫した綿のうちの数十パーセントしか綿糸としてしか活用されないけれど、その後の技術革新などもあって、例えば綿実油はポテトチップスを揚げる際に活用されて、綿粕は家畜の飼料の原料になり、綿糸にならなかった綿くずは、セルロースの原料として活用されると行ったようになっているそうです。 アメリカの生産者に求められるスキルというのは、栽培に必要な肉体的な力よりも、むしろ、価格維持制度のような、自分達に有利な制度を導入してもらうために官僚をうまく利用すると行った政治力であったり、技術革新によってもたらされる新しい技術を使うための読み書きの力、機械を導入するための資本といった部分が必要になるそうです。
by h5y1m141
| 2007-02-19 21:06
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