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定住化によって変化に対して脆弱になった人類

古代文明と気候大変動 -人類の運命を変えた二万年史
ブライアン・フェイガン
河出書房新社
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この本の書評を「書こう、書こう」と思っていたけど、なかなか壮大な内容で、時間がとれなかったけど、やっと重い腰をあげて書く事にしました。

さかのぼること数万年前までは、人類は食糧を確保の手段として獲物を求めて移動を強いられる生活をしており、移動を前提とした生活をしていた分、環境順応する能力がかなり高く要求され、
氷点下の気温と、わずかな食糧しかない過酷な環境に適応していたのだ。最も厳しい条件下でも充分に生き延びられる技術と衣服を、彼らは開発していたのだ。(P.83より)
というのが、ある意味必然だったようです。

それがある時代を境に、狩猟生活から農耕生活に移行し、当初は人口に対して収穫できる作物の量も均衡しており、狩猟生活の頃に比べれば、死と隣り合わせという場面が減ったこともあり、人口も急激に増加をしていったそうです。

ところが、
急増した人口は、生態学的に言えば、生産力が低く、気候のほんのわずかな変動にも影響を受けやすい環境を必然的に乱開発することになった。(P.127より)
とあるように、人口が増えて、ある地域に定着をするようになった人口が世界各地で増えた結果、ちょっとした変化が生じて、その地を離れようと思っても、移動できる地域がどんどん少なくなり、その地にとどまざるを得ないという皮肉なことが生じるようになったそうです。

本書の最後で
温暖化の原因を探るのは付随的な議論でしかない。われわれはグローバル経済のカプセルのなかで暮らしている。ところが、人口が爆発し、都市が人間の居住形態の中心となった時代には何千人もの死者をだす可能性のある気候現象のことは忘れてしまっているらしい。(P.341より)
と書かれていますが、定住化によって得たものは多いのは事実だろうし、それが無かったら、今のような世界はなかったと思うけど、たった1つにしか過ぎないけど、定住化で得たものの総量を遥かに上回るくらい大切な、”変化”に対する適応力を失ったのかな...
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by h5y1m141 | 2008-10-23 19:43 | 読書メモ