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ドングリと文明 偉大な木が創った1万5000年の人類史

以前ブログで取り上げたけど、人類は食糧を求めて移動する生活をしていたが、植物を食糧にしてから定住を始めその時にドングリを主食にしていた時代があったというのは知っていたけど、ドングリと文明 偉大な木が創った1万5000年の人類史は、オーク&ドングリが人間の文明の発展に大きく貢献してきたということを本書で展開されていて、とてもロマンに溢れてスケールも大きな話でちょっとおおげさかもしれないけど、なんだかそういう空想を抱いてしまうくらいものすごく興味深い本でした

例えばドングリを食べ物として捉えたときに、調理方法も地域によって様々存在し、それが食の文化の発展につながり、また、オークの木を木材として活用する事を発見してからは、多様な建築方法を腕のたつ大工さんんによって創造されて、著者曰く
中世ヨーロッパのもっとも偉大な芸術作品は絵画でも彫刻でも大聖堂でもない。660トンのオーク材、ウェストミンタンホールの木骨造りの屋根である(P.188より)
というように、建築物が芸術的なモノにまで昇華していく。

さらに、オーク材として今でもワイン作りに欠かせない樽は、数百キロの液体、固体を中に漏れることなく収納出来、横にすれば、転がして運ぶ事が出来て、立てれば5個は積み上げられということで、数学の世界で有名なケプラーさんが、樽の中身について正確に計測する事を考えたりと数学の発展の影にオークで出来た樽の存在というものがあったり(←これはちょっと言い過ぎだね)ということで、
オークそのものの研究は歴史とデザインと社会を学ぶ場でもある(P.301より)
という著者の言葉通りかなぁと思います。

ここ数年読んだ本の中で一番ワクワクしたし、「あーもう少しで読み終わっちゃうー」という読み終えるのがもったいないという気分を久しぶりに味わったように思います。

ドングリと文明 偉大な木が創った1万5000年の人類史
ウィリアム・ブライアント・ローガン
日経BP社
売り上げランキング: 27642
おすすめ度の平均: 4.5
4 狩猟採集と農耕牧畜を結ぶドングリ
5 「エッフェル塔とオーク、どちらか一方を選ばなければならないとすれば、あなたはどちらを選びますか」

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by h5y1m141 | 2009-02-11 20:06 | 読書メモ

米中激突

1月に読んだ本はたぶん7冊程度なのですが、その中から、堅い本の書評を1つ。

米中激突――戦略的地政学で読み解く21世紀世界情勢
フランソワ・ラファルグ
作品社
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副題に地政学っていう耳慣れないことばがありますが、字面だけ見ればり地理+政治っていうことになるんだろうけど、自国の領土内にどういう資源、例えばだけど、わかりやすいのは石油資源だけど他にも食糧栽培のための肥沃な土地なんてってのもこれに含まれそうだけど、そういったものを、どれだけ自分の国で確保するか、もしくは友好国との間でそういうものをバーター的に取引するのかというような感じの政治的な思惑みたいなものが地政学という風に自分の中では解釈しています。

実際の所、この本は、地政学自体についてあれこれ書いてある本ではなく、そういう考えとベースにして、中国とアメリカというそれぞれの大国同士の思惑だったり、表だった出来事の裏にある彼らの戦略がいったい何なのかをうまく説明してくれています。

まずアメリカの方はというと、長期間に渡って、政治、経済、軍事力という部分において他の国をしのぐ優位性を保持して覇権国家としての地位は揺るぎないと思われたけど、最近の状況からすると、その地位は安泰でもなくなっており、近いうちに中国やインドという大国の追い上げを気にしているように読み取れます。

従来であれば、他国から優秀な科学者が集まり、そういった人材のおかげで科学技術の進歩を促し、それら技術の中で軍事転用されたり、民間でも活用されて、国の発展に寄与して・・・という流れがあったかもしれないが、中国やインド出身の人材が必ずしもアメリカを目指さなくなりその結果としてすこし長い引用になるけど
アメリカのテクノロジーの優位の喪失は、いずれは政治的地位の喪失を意味する事になるだろう。だから炭化水素などの原材料鉱床のコントロールはアメリカのバイタリティーと成長を維持し、外交の道具として中国とたぶんインドに対する影響力を保有するためになににもまして今後の至上命題となるだろう。(P.256より)
とのことで、アメリカにとっては中国、インド発の優秀な人材が今ほどは手に入らなくなる将来を危惧して、他の部分に目をつけて、それが原材料鉱床の確保という行動に出ていると本書では解説しています。

一方で、中国にしてみても、石油、天然ガスといったエネルギー資源や、水資源、食糧確保というのは、日本とは比べ物にならない大量の国民を抱えていることを考えると、欠かせないものであるのと、またそういった資源を押さえておく事で、アジアにおける自国の優位性を示す事が出来るようです。

天然ガスや油田を巡る争いというのは他の本でも読んでいたので、それほど目新しいとは思わなかったけど、前からものすごく疑問だった、チベット独立を巡る中国とチベットの争いの背景の1つにありそうなのが、「水の城」と例えられているチベット高原を巡っての中国の思惑で、この水資源を押さえる事で、下流域に存在する他の国口に対しての影響力はかなりのものになるので、それもあってか、そう簡単にはチベット独立っていうのは許せない状況のようですね。

こうやってそれぞれの国において、どの地域のどんな資源を巡って直接的/間接的に争っているのかというが本書全体で丁寧に解説されていますが、個人的には似たような本を以前読んでいたこともあって、内容的に重複しそうな部分もあったので、目新しさには欠けるかなぁとも思った。

この本の最初に掲載されている地図に、世界の主要地域のエネルギー資源の情報が掲載されており、それを頭に入れつつ本書を読み進めると、中国が今何を考えて外交活動しているのかというのが1つ深く読み解けるので、国際関係のニュースが深く読み解けるようになるのではないでしょうか
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by h5y1m141 | 2009-02-02 22:24 | 読書メモ

貨幣の便利さが裏目に出る

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今週は仕事が忙しくって、さっき帰ってきて、コンビニで見つけた新製品のビアショコラというギネスビールっぽい味のビール飲んでいるのですが容疑者ケインズについて、ちょっと触れたくなったので、今回はそれをネタにします。

※ちなみに私は経済学出身ではないので、ケインズ的な経済学っていうのを全く学んでないので、それをふまえて以下内容をお読みください。

本書を読んで知ったこととして、貨幣は以下のような交換の仲立ちをする役割を果たしているそうです。

自分の持つ「財」⇄ 「お金」⇄ 自分の欲しい「財」

ここで言う財というのは、具体的な商品とは限らず、物理的な形が無いサービスというものもふくまれるようです。

自分が何らかの価値を創出した場合に、その対価として具体的なもの(例えば魚のようなもの)で保有しようとすると、保有する財の価値が失われるかもしれないが、貨幣で保有する事によって、半永久的にその価値を保有する事ができるため、価値と価値の交換手段としての貨幣の果たす役割は重要であるということがわかりました。

ここまでの話で終わらないのが、ミソで、
ケインズは人々は貨幣の中に「流動性」という効能と魅力を見出し、人々はあたかもそれを「消費」するかのごとく行動するという見方をしていたわけである(P.55より)
というのが、景気を左右する貨幣の存在を読み解くヒントになるのかと思いました。

どういうことかというと、例えば、自分が何らかの経済活動をした結果生み出される価値を仮に100として、自分が欲しいと思う財の価値も同じように100だったとした場合に、その仲介をする貨幣の価値も100だったら

自分が生み出した経済活動→100の価値
仲介役の貨幣→100の価値
欲しい財の価値→100の価値

ですべて等しくなるので、交換もスムーズに行くと思います。

ところが、上記で引用したように、本来仲介役として機能する貨幣自体に何らかの価値を見出して、それ自体の価値が上がる(反対に下がる)ようなことがあると、状況によっては、欲しい財の価値よりも、貨幣を持っていた方が価値が上という状況が発生し、それが原因で貨幣が思ったように人々の間で流通せず、それが行き過ぎた結果、不況というのが生じるんじゃないかなぁと本書を読んだ結果として自分は理解しました。

正直言うと、ケインズに代表されるような経済学って、何となくとっつきづらくって、今までさけていたのですが、この本を読み終わった感想としては、「もっと関連する書籍を読みたいなぁ」って素直に思えたので、そういう意味では、経済学の入り口を切り開いてくれた本として、自分にとっては良い本かなぁと思います。(amazonのレビューではそこまで評価高くないみたいですけどね...)

容疑者ケインズ (ピンポイント選書)
小島 寛之
プレジデント社
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by h5y1m141 | 2008-12-02 23:04 | 読書メモ

激動のトルコ

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少し古いですが、サッカーのヨーロッパ選手権(EURO2008)でトルコが戦前の予想に反してかなり活躍したのと、中東地域におけるトルコの位置づけっていうのが何となく知りたいと思っていた時に、新聞の書評欄で取り上げられていた激動のトルコ―9・11以後のイスラームとヨーロッパを随分前に読み終えていて、内容を簡単にまとめておいたので、自分用にメモ。

EUの仲間入りを果たしたいという長年の夢がトルコにあるそうで、一方EUとしても、若年層が多く労働力確保という意味以上に、地政学的に対中東/イスラム圏という観点から重要な位置づけにあるトルコは本来内に取り込みたい所だったようです。

EUの理念としては、かつての敵を内に取り込むというものがあったそうで、それを行うことで長期の安定を図ってきたという歴史があるようで、こういうのは全く知らなかったのでそれだけでも勉強になったのですが、そういうEUの理念というのが、少しゆらぎつつあって、結果的に、トルコがEUに加盟することに対して、反対する国が増加しているそうです。

その背景に各国のそれぞれの事情があり、大きく分けて「経済問題」と「文化の違い」という2つ。

まず経済問題については、失業率の上昇で、その背景に移民の増加があってそれが目の敵にされているということで、この本を読み終えたのが3ヶ月ほど前ですが、その頃にくらべてEU圏内の経済面の低調傾向からすると、ここしばらくはこの問題は解決しないでしょうね。

あともう1つの文化の違い。

9.11以前は、EU各国の中で、多文化を受け入れる風潮があったそうですが、9.11を境にして、モノ(単一の)カルチャーという流れが主流になってきて、ムスリムに対する嫌悪感が増えつつあり、イスラム教 vs キリスト教 という図式が”結果的に”成り立ってしまっている所があるみたいです。

これ1冊で、トルコのことについては深く知ることはもちろん出来ないですが、EUに加盟したいという長年の夢がそう簡単には実現出来ない様々な事情が理解出来た意味では、入門書として読むには丁度良かったかなぁと思います

激動のトルコ―9・11以後のイスラームとヨーロッパ
内藤 正典
明石書店
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by h5y1m141 | 2008-11-27 21:14 | 読書メモ

ナポリへの道

日本におけるケチャップの具体的な使用例のひとつであるナポリタンは、ケチャップが日本にとりこまれただけではなき、必要にして十分な工夫と一体化させられた上で完璧に使いこなされ、日本そのものとなっている、という事実だった。(53ページより)
という記述が本書にはあったのですが、さも昔から日本で当たり前のように存在しているような、しかもイタリアンではなくナポリタンという名のケチャップ炒めパスタとでもいえそうなこの不思議な食べ物にちょっとしたノスタルジーを著者は感じているように思いましたが、自分なんかは、そういのが感じられない世代。

ナポリタンって聞くとお弁当の横の冷たくなった付けあわせのイメージが最初に出てきてどちらかというとネガティブなのが頭に思い浮かびました。

もう1つ違ったイメージとして、喫茶店に父親と一緒に、出かけた時に見かける何となく気になる美味しそうなご飯という相反する感情も想起させるけど、今の時代の人やそれ以前の人にとってナポリタンという日本的な食べ物に対する印象がどんなものかなぁーって、思わせるちょっと不思議な本でした。(何故これを図書館で予約したかそれすら忘れてた)

ナポリへの道
ナポリへの道
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片岡 義男
東京書籍
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by h5y1m141 | 2008-11-25 23:00 | 読書メモ

何故、かれらは走るのか?

ケニア! 彼らはなぜ速いのか
忠鉢 信一
文藝春秋
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マラソンなどの長距離陸上種目においてのアフリカ選手の速さの秘訣として

「脂肪を効率よくエネルギーに変えることができる」
「身長に比べて、膝から下が細く長いので、無駄なエネルギーを使わずに済む」

などと、色々な理由があるのかもしれませんが、何故速いかというのは遺伝というのはあまり関係がないようで、
何がランナーを走らせているのか(P.222より)
という部分を理解するのが大切であり、彼らにとって走ることは、夢であり希望でもあるという部分を認識すると共に、彼らが本来持っている「競争意識」というメンタリティーをしっかり理解することが大切なようです。

冷静に考えると、いったい何のために、マラソン選手は走っているのかというのを理解するのは、簡単そうで、実は難しいのかも。

一流選手になれば、金銭面でそれなりの待遇を得られるかもしれないけど、その待遇を得るために、日々節制しなければならず、しかも、まだ年齢が若いような場合だと、まわりは遊んでいたりするのに、自分はあえてそういう状況とは違ったことをしなければいけないわけで、一流の選手になるには、肉体的な優位性以上に、それ相応のメンタリティーを備えている必要があるんでしょうね。

そうそう、個人的には
速さの秘密はメンタリティーにあるという自分なりの結論を私は気に入ってもいる
〜中略〜
スポーツが異なるメンタリティーを持った人間が競い、ぶつかり合う姿だと見ればどうだろうか。オリンピックの魅力が増してくる。スポーツの面白さに深みが増してくる。(P.277より)
という箇所がとても印象に残ったのですが、本書は、ケニアの選手の速さというものに迫る内容で、マラソンに関する記述になっているのですが、他の競技にもこの考えは通じるように思えて、あくまで個人的な意見ですが

・オランダサッカーの強さ/弱さの根底にあるもの
・日本が団体競技においてそれほど優秀な成績を残せない一方で、個人競技においてはまぁまぁの成績を残せている
・アメリカ、中国といった大国のスポーツに置ける強さ

というのは、各国の人達が持っているメンタリティーの違いが影響しているんじゃないかなぁー

※偶然かどうか著者はこの本以外にも、「オレンジの呪縛」(会社のブログでこの本について触れたので気になる人はこちらのエントリを)の監修もつとめており、このメンタリティーというのは、何か本質的な部分が共通するように思う
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by h5y1m141 | 2008-11-22 18:48 | 読書メモ

アフガニスタン―戦乱の現代史

アフガニスタン―戦乱の現代史 (岩波新書)
渡辺 光一
岩波書店
売り上げランキング: 209007


何故、アフガニスタンで紛争が絶えないのか、ものすごく不思議で、本書を読んでもそれがすぐには理解出来たわけではないけれど、ある程度その火種となるものがうっすら見えたように思います。

アフガニスタンに限らず、この地域の紛争の背景にありそうなのが、同じ国の中に、民族、宗教を異にする人達が混在しており、そしてアフガニスタンの場合にさらに問題を複雑にしそうなのが、超大国である国口(アメリカやロシア)の思惑、中東地域での存在感を示したいサウジアラビア、イラン、そして近隣のパキスタンのそれぞれの国の思惑や、その国の人達から操られている権力者同士の争いというのが、一番の要因なのかなと思います。

その象徴的と思える事を、タリバーン(タリバン)の存在を中心に自分なりのまとめを。

イラク戦争の際に、タリバーン(本書ではこう書かれていましたが、TVなどの報道だとタリバンという言い方のほうが馴染みがあるけど、本書にならってとりあえずこの表記でいきます)がよくクローズアップされたように思うけど、何か過激な集団というイメージしかなかったのですが、その部分について結構丁寧に解説がされていました。

パキスタン周辺のアフガニスタン難民(パシュトゥーン人)が、イスラムの神学校「マドラサ」でイスラム原理主義を学んだそうで、ペルシャ語で神学校の学生を「ターリブ」といい、その複数形が「タリバーン」とのことで、元は神学校の学生を意味しているそうです。

パキスタンにいるこのタリバーンが何故、アフガニスタンに行く必要があったかというと、中央アジアの天然ガス資源の存在が1つ読み解くヒントになるみたいです。

どういうことかというと、アフガン、イランの両国と国境を接するトルクメニスタンの豊富な天然ガスを、国外に運び出すにあたりパイプラインの敷設が必要で、そのルートが2つ(イラン経由、アフガン経由)考えられたそうです。

ここで、アフガニスタン1国だけではなく、隣国のパキスタン、アメリカが絡んできます。

まず、アメリカ側の事情を。

アメリカとしてはイランを敵国とみなしてて、イラン経由のルートはさけたいけど、アフガン経由は、アフガニスタン国内の治安情勢が不安定であることを懸念してその解決策をどうにかして考えないといけなかったそうです。

アフガニスタン経由のパイプラインをどうにかして作っちゃえば、天然ガスの利権にあやれるし、ついでに、イランの力も押さえ込めるから、アフガニスタンの治安の問題が解決できればなぁーという課題があったそうです。

そこで、親米国家のパキスタンに話をもちかけることになったそうです。

そして、ここでパキスタンの事情を。

この頃政権についたブット首相は、実は以前(90年)に一度退陣に追い込まれた経験を踏まえて、同じ過ちを繰り返さないように、政権の基盤をしっかりしたいという思惑があったらしく、「イスラム神学者教会」を率いるファズール・ラマンという人物との関係を強化することになったそうです。

※この教会はデーオバンド学派というもので、タリバーンの宗教思想もこのデーオバンド学派のようです。

そして、ブット首相の懐刀である内相と「イスラム神学者教会」を率いるファズール・ラマンがこれを解決する案を思いつき、「祖国の秩序を回復する」という大義名分を掲げて、タリバーンの若者を焚き付けて、彼らはアフガニスタンに派遣される。

大義名分の元、タリバーンがアフガニスタンに進出するが、元は単なる神学校の生徒であるわけで、そう簡単には秩序回復は実現できるわけでもなく、その後、タリバーンの若者に混じってパキスタンの軍兵士、軍事情報部員などが身元を隠して、タリバーンとしてアフガニスタンに入り込むようになったそうですが、このあたりは、パキスタン政府が巧みに行っていたそうです。

その後はタリバーンが国内の各拠点を制圧していくそうですが、ここで問題になるのが真のリーダーとなるべく人間の不在。

この当時ウマルという人物が最高指導者としていたが、彼には崇高な精神も、アフガニスタン復興のための明確なビジョンもない人物だったそうで、その後はタリバーン(パシュトゥーン人)が中心の国を作るために、他の民族を殺戮して、自分たちが国家の中枢に居座る事になるのですが、タリバーンの若者達には、国を運営するような知識、経験もなく、あるのは暴力による支配だけという状態で、その後数年は恐怖政治による国家支配が続いたそうです。

まぁこうやってタリバーンという存在を中心にその周辺諸国、超大国、民族、宗教という組み合わせで考えても、アフガニスタンが不安定なのもちょっとうなずけるように思うし、こういう図式が成り立ちそうな他の紛争地域も、同じような構図で読み解けそうな気がします。
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by h5y1m141 | 2008-11-03 19:05 | 読書メモ

定住化によって変化に対して脆弱になった人類

古代文明と気候大変動 -人類の運命を変えた二万年史
ブライアン・フェイガン
河出書房新社
売り上げランキング: 94646


この本の書評を「書こう、書こう」と思っていたけど、なかなか壮大な内容で、時間がとれなかったけど、やっと重い腰をあげて書く事にしました。

さかのぼること数万年前までは、人類は食糧を確保の手段として獲物を求めて移動を強いられる生活をしており、移動を前提とした生活をしていた分、環境順応する能力がかなり高く要求され、
氷点下の気温と、わずかな食糧しかない過酷な環境に適応していたのだ。最も厳しい条件下でも充分に生き延びられる技術と衣服を、彼らは開発していたのだ。(P.83より)
というのが、ある意味必然だったようです。

それがある時代を境に、狩猟生活から農耕生活に移行し、当初は人口に対して収穫できる作物の量も均衡しており、狩猟生活の頃に比べれば、死と隣り合わせという場面が減ったこともあり、人口も急激に増加をしていったそうです。

ところが、
急増した人口は、生態学的に言えば、生産力が低く、気候のほんのわずかな変動にも影響を受けやすい環境を必然的に乱開発することになった。(P.127より)
とあるように、人口が増えて、ある地域に定着をするようになった人口が世界各地で増えた結果、ちょっとした変化が生じて、その地を離れようと思っても、移動できる地域がどんどん少なくなり、その地にとどまざるを得ないという皮肉なことが生じるようになったそうです。

本書の最後で
温暖化の原因を探るのは付随的な議論でしかない。われわれはグローバル経済のカプセルのなかで暮らしている。ところが、人口が爆発し、都市が人間の居住形態の中心となった時代には何千人もの死者をだす可能性のある気候現象のことは忘れてしまっているらしい。(P.341より)
と書かれていますが、定住化によって得たものは多いのは事実だろうし、それが無かったら、今のような世界はなかったと思うけど、たった1つにしか過ぎないけど、定住化で得たものの総量を遥かに上回るくらい大切な、”変化”に対する適応力を失ったのかな...
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by h5y1m141 | 2008-10-23 19:43 | 読書メモ

気分転換兼ねてタクシー王子、東京を往くを読む

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しばらく忙しかったのもあって先週と今週はあまり働かない週間と決めていて、昨日は、となりの駅まで電車に乗って、90分の遅めのスピードのジョギングしながら、途中でみかけたお花を撮ったり、あとはがっちりマンデー!で以前出演されていた、タクシー王子こと、川鍋一朗さんが書かれたタクシー王子、東京を往く。―日本交通・三代目若社長「新人ドライバー日誌」をちょっと気分転換に読んでました。

内容自体は、タイトルからおおよそ想像がつくかと思いますが、川鍋さんが社長に就任されて、それまでの借金の返済の目処がある程度たったころに、今後の30年先という長期ビジョンを考えた場合に、現場を一度しっかりと経験して、そこから感じ取った事実をベースに、今後を考える材料にしたいということで、実際に、1ヶ月タクシードライバーとして勤務した時のまとめで、割とすぐに読めます。

読み終えて、川鍋さんがすごいなぁと思ったのは

1.事実を学ぶために、実際に体験してしまう
2.他人からの批評に対して受け入れる柔軟性
3.自分が何が出来ないかをきちんと認識している

っていう感じでしょうか。

1.に関しては、社長就任前につとめていた超有名なコンサルティングファームで学んだらしいのですが、現場からあがってくる報告の裏に潜んでいる問題であったり、自分が当事者として体験する事から見える課題を、きちんと理解しようとする姿勢と、それを実行する意志の強さを本書からはとても強く感じます。

もしかしたら、ある種のパフォーマンスなのかもしれず、実際本書でも、現場の人から、

「また社長のパフォーマンスが始まったよ」

という声もあったらしいですが、上記2.にあげたこういう他人からの批評についてもまずは耳を傾けようとする懐の深さと、柔軟性のような所は、ちょっと自分には真似出来ない。

この2つ以上に、自分が一番感心したのが、3.の自分が何が出来ていないかを理解している所で、前職のコンサル時代にも、正直川鍋社長自身、決して有能なコンサルタントではなかったそうですが、彼自身が出来る最大限の強みを活かして、とにかく出来る限りのことはやってきたそうです。

また、タクシードライバーとして奮闘している時にも、都内の入り組んだ道路を理解していないため、道に不案内(*)であり、お客様に迷惑がかかるということをきちんとわきまえて、正直にお客様にその旨を伝えて対応していたそうで、こういう知らない事って年齢を重ねたり、それなりの地位になると、なかなか聞けなかったりすると思うけど、川鍋社長は、自分が出来ない事は素直に口に出し、その上で、その時点で出来る最大限のことを考えて、実行することにかけてはズバ抜けているように感じます。

川鍋社長の人柄は、松岡修造さんとか、アルピニストの野口健さんなんかと通じそうな気がしていて、こういう人達のキャラクターは個人的に嫌ではないし、意外と年齢も近い人達だからこういう人にはがんばって欲しいかなぁと思います

(*) とあるお客さんに、「道知らないんだったら、じゃーいいよ」と降りられたこともあったそうです。


タクシー王子、東京を往く。―日本交通・三代目若社長「新人ドライバー日誌」
川鍋 一朗
文藝春秋
売り上げランキング: 5615
おすすめ度の平均: 4.5
5 ブログを本にしてみました的
5 ビジネス書じゃなくてブログです
1 期待外れ
5 経営学の本でなく東京ガイドとしてドウゾ
5 現役のタクシー運転手です

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by h5y1m141 | 2008-10-20 22:37 | 読書メモ

アフリカ・レポート


アフリカって地理的にも日本から遠く、知っていることと言えば、2010年にサッカーのワールドカップが開催されること、コーヒーの真実で読んだ、先進国から搾取される発展途上国というようなとってもアバウトなイメージしかなかったので、何かきっかけあれば、もうちょっと突っ込んだ所が知りたいと思っていて、いつだったかの日経新聞の書評でこれが取り上げられていたので、図書館で借りて読みました。

読み終えた素朴な感想は

「ものすごい絶望の中にかすかな光がみえつつある」

って感じ。

国のトップたる人間が、そもそも自分の出身部族のことしか考えず、利権にあやかれない領域は、ほったらかし、逆に利権はこれでもかっていう位、自分たちの懐に入れてしまうようなことが平気で行われており、その一方で都合が悪いことがあると

「俺たちが悪いのではない、あいつら(白人だったり、先進国など)のせいだ」

と責任逃れのためのいいわけを繰り返すばかり。

こんな調子の人間が国益というものを考えるわけもなく、結果は、激しいインフレ、治安悪化、失業、有能な人材の海外流出...と正直絶望することばっかり。

ただ、いつの時代もこういう状況を変えるのは、行動力のある個人や、そういう人を中心とした小さい団体(今だったらNPOのようなもの)なのでしょうし、実際に本書後半で自分たちに出来ることを行って、少しづつではあるが社会を変えつつある人たちも取り上げられており、多少の光が見えるようにも感じられます。

とはいえ、アフリカの将来はこういった人たちの活動で劇的に変わるとも思えず、公益のことを考えられる人材が国の中枢につく動きがないとそう簡単には変わらないのかなと思います。
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by h5y1m141 | 2008-10-02 21:19 | 読書メモ