現代の貧困―ワーキングプア/ホームレス/生活保護

もともと日本は、税や社会保障による所得再分配効果が小さい国だといわれている。OECDが2005年に公表した国際比較で日本は、10等分された所得階層のうち下から3つの階層が再分配後に得た所得のシェアで、先進国19ヶ国中、下から2番目である。(P.189)より
だそうで、不利な人々がいつも不利な状況で固定化されてしまっているのが現状のようなのですが、貧困がいままでずっと存在しつづけてきたのかを長年調査しつづけてきた著者の方による問題提起の本として読みましたが、ちょっと考えさせられます。

■以前から貧困はずっと存在してきた

日本よりも欧米では早くから、新しい形の貧困が見いだされるようになり、
80年代以降明確になったポスト工業化社会とかグローバリゼーションといわれる新しい社会経済体制への移行の過程で顕著になったといわれている。(P.22より)
という記述がり、こういった新しい産業社会では専門性をもった人々(金融とか情報サービス産業が代表例)とそれほどの専門性を持たなくても就業可能なサービス労働者(マクドナルド・プロレタリアートと呼ばれるようなものらしい)に二極化しつつあるそうですが、日本でも最近色々な所で貧困のことがとりあげられるようになったけど、以前から貧困は存在しつづけてきたそうです。

ただここでちょっと厄介なのが、”貧困”をそもそもどのように定義するのかが実はかなり難しいみたいです。

というのも、生きていくのに最低必要な費用という定義の取り方が人によって意見がわかれるようで本書でもそのうちのいくつかの例が出ていて、たとえば食費と生活費だけを”生きていくのに最低必要な費用”というとりかたをしたり、たとえば来客があったら最低限のもてなしができるというような社会との接点をもつために必要な費用も含めて、”生きていくのに最低必要な費用”という取り方をする場合もあるそうで、このあたりの見解の相違が生じる分、どうしても貧困に苦しんでいる人がどの程度いるのかを計測するのが困難になっているみたいです。

■路上生活者はある年齢層の方が多い

路上生活者として定義される日本のホームレスの最も大きな特徴は、中高年男性に集中しているそうで、5割ちかくが50歳代で、60歳代も3割前後となっているそうですが、年齢的な偏りという部分だけではなく、学歴や結婚歴という部分にも偏りがあるそうで、6割近くが義務教育までの学齢期程度で、未婚率も高いそうです。またこうした特徴はホームレスが増えだした90年代前半から今に至るまであまり変化がないようなので、一定の年代でこのような状況に陥りやすい状況があるみたいです。

90年代から今に至るまで一定の年齢層に見られるというのは景気動向だけでは説明がつかないはずだから何かしらの要因がありそうで、そのあたりについての考察もあり、ホームレスの中でいくつかの特徴があるそうで、以下のように3つに分類されていました。

1.長期で安定した職に就いていて社会保険にも加入していて一般の住宅に住んでいた人々
2.長期の安定した仕事ではあるが、職場が提供する場所に住んでいる人々
3.長期にわたり不安定な職業を転々とし住宅も不安定だった人々

本書を読んでいて、もう一段高い部分で見た時に上記3つに共通するのが、社会との接点を失った時点でホームレスに陥りやすいように感じました。

1.については一見するとあまりそのような状況に陥ることが難しいように感じますが、例えば会社の倒産などで失業しそれが原因で収入が不安定になるとか生活が乱れるなどして生活がだんだんと苦しくなっていき、離婚して家族を失ってしまうという状況からだんだんと社会的に孤立していると感じるようになってということのようですし、2.もたしかに住居はあるけれど、それは職場が提供するものであるため、職を仮に失ったとするとその時点で住居を失うという状況に陥るわけで、そうなった時点でかなり危険な状況なのかと思います。

この本を読みかけている途中で図書館でたまたまビッグイシュー突破する人びと―社会的企業としての挑戦という本を見つけたので、関連する内容だったのでこれも最近読み終えたので、ビッグイシューの方もちかいうちに簡単に内容まとめようかと思います

現代の貧困―ワーキングプア/ホームレス/生活保護 (ちくま新書 (659))
岩田 正美
筑摩書房 (2007/05)
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by h5y1m141 | 2007-10-14 15:14 | 読書メモ
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