イラン 世界の火薬庫

やっとイラン 世界の火薬庫を読み終えました。

中東地域の状況をおおまかにつかむという意味ではちょうど良い本だと思いますが、中東情勢って、対民族、対宗派(イスラム教でもスンニ派 vsシーア派)という観点での対立もあるし、後は親米か反米なのかという切り口なんかで考えても、こういう本だけで全体を理解できるほど簡単ではないんだなぁと改めて気付かされました。

ちなみに、なんでこのような本を読んでいるのかっていうと、元々は資源インフレという本を読んでからエネルギー問題にちょっと関心を持つようになって、日本の場合に中東の石油資源に頼っている部分がかなりあるけど、その中東情勢っていうのが新聞なんかの報道でイマイチこうわかんないことが多くって、シーア派―台頭するイスラーム少数派なんかや今回読み終えたイラン 世界の火薬庫なんかを読むようになりました。

この本読んで、2つ勉強になったのが、1つは革命防衛隊という存在がイランの中ではかなり影響力があるっていうことと、もう1つは地政学的な観点で各国の思惑があってそこで対立しているように感じました。

最初の革命防衛隊ですが、
革命防衛隊は、イラン革命の急進的で戦闘的なイデオロギーをそのまま継承し、強硬な外交スローガンを唱えつづけている。また、軍備の拡大とともに治安維持活動を厳重に行い、イラン・イスラム政権と一体の軍隊であり続けている。まさに革命防衛隊は、体制の支柱であり、イスラム共和国が継続しているのもその存在や活動によっている。(P.77より)
ということでその存在はイラン内ではかなりのものがありそうで、実際2005年にアフマディネジャド大統領が選出されるのですが、この人は革命防衛隊出身だそうです。

この革命防衛隊の影響力について米欧諸国は
1990年代中期になると、アメリカをはじめとする米欧諸国や、その中東における同盟諸国によって「イラン脅威」が声高に唱えられるようになった。この「イラン脅威論」の重要な要因として革命防衛隊の急進性がある。(P.59より)
ということで、イラン脅威の根底にあるものがこの革命防衛隊という認識みたいです。

もう1つの地政学的な観点の方ですが
イラン人の多くはイランがペルシア湾岸や南西アジアで優越した国力を持つべきであると考えていて、イラン革命は、イランがイスラム世界の知的な面において指導的な立場にあることを示すものだったと考える人が少なからずいる。
つまり、イラン政府によるウラン濃縮活動の継続はイラン人のプライドを表すもので、さらにイランが核兵器を保有することになれば、イランは世界でも核兵器を持つ希少な国になり、国際政治におけるイランの地位は格段に向上することになると考えているのだ。(P.32より)
というスタンスがまずイランにはあるけど、それに対しての周辺諸国の位置づけがかなり複雑。

パキスタンは、シーア派を異端児扱いするデオバンド派が信仰される国。インドと対立しているが、インド、イランとに挟まれている関係で、イランとの敵対関係は望ましいものではないそうです。

サウジアラビアではワッハーブ派が信仰されているそうで、デオバンド派はこのワッハーブ派の思想的影響を受けているそうです。イランとサウジアラビアの関係が良好でないのは、イラン革命後にホメイニがサウジ王政に対して痛烈な批判を浴びせたことがその要因となっているそうです。

パキスタンで信仰されているデオバンド派の原理主義者はパキスタンからアフガニスタンで台頭していて、タリバンはデオバンド派の組織らしく、イランにとっては脅威だけど、対テロ戦争でタリバンの脅威がなくなった。ただアフガニスタン経済を支えているアヘンの収入が反政府勢力に流れているかもしれないということがあり、イランとアフガニスタンとの間では緊張関係がある

こうやって書いてみても頭の中でその対立関係がイマイチ見えづらいというか入りくんでいてやっぱり一筋縄ではいかないですね。
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3 アフマディネジャドのイラン

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by h5y1m141 | 2007-06-21 11:33 | メモ
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